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榛東町スコール
Shintoh-chou squall

by 摺本拓也

退屈なあらすじのせいで
不意に滑り出す濡れた路面
出口を探し続けてた軒下の煙り
雨降りの夜にぼやいてる

くたびれた止まり木の奥で
同じ言葉ばかり繰り返す
喉元過ぎて冷めるころ
涙目になって
部屋中が回りだす

紫色の苦い一粒で目覚めて
もう一度夢の中へ
滲んだ薄明かりをぼんやり眺めてた
今はただ、床の上
濡れたままの足を投げ出す

数えきれないウソが束になって
窓の外をたたく音


目の前の壁ににうなづいて
明日は誠実であれと誓う
見上げれば、ほら
眠たげな時計の針まで
自棄になって動き出す

誰も知らない、まっさらな紙いっぱいに
この日を描き切る
いつまでも空に張り付いた雨雲に
これ以上何を願う?

琥珀の水に溶けた足取りで
演じる、古い名作の世界
気づけば一人きりで熱に浮かされてた
そしてドアの向こう
震えながら足を踏み出す

よろけながら踏み出す
雨の中へ

Copyright Surimoto 2018

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