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羽もないのに
Though I have no wings

by 摺本拓也

ありそうにないことばかり思い浮かべた
何気ない過去の場面が、目に染みる
煤で汚れた窓の外、見上げた星
切実な願いは、それとなく告げよう

冬のさなか、凍てつく水の深い場所で漂う
こうしていればいつか明日が見れるよ

ある朝その気になって、なんにもない空を
飛べると思っている、羽も無いのに

過去から学ぶ、そして賢く生きる
誰でも、そうさ、やっていること


なんとなく気ままに見えて、本当は弱い
今もまた震える足で立っている
いつの間にか浮かべてたぬるい涙
気まぐれな誓いだけじゃ変われそうもない

水面に映る長い影を立ち尽くしてみていた
生えそろわない産毛、風になびいて
うまれ出た卵の殻に置き忘れていたけど
今日も巣穴の中で口を開けて待つ

うまいこと風向き読んで、堅実な僕らも
飛び立つ日を夢見る、羽根もないのに


雨上がりのひと時
一人でたどる帰り道
うつむいたままで笑い出しそう
羽根もないのに

Copyright Surimoto 2018

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